厚底グラスと食洗機
食器店 笥の山下です。
お客様と話していてちょうど話題にのぼったので、
ここにも書いて共有しようと思います。
底の厚いグラスってあるじゃないですか。
たとえばこんな感じのやつです。
もちろんこのグラスだから必ずそうなるとは限りませんし、
底が厚くないグラスで起こらないという保証も無いのですが、
(画像はこちらからお借りしました)
グラスの底が抜けることがあるんです。
原因は熱によるガラスの膨張と冷却による収縮の繰り返しによる歪の蓄積によるものです。
使用過程でそうなる場合と、
生産過程で熱いガラスを成形して製品にするためには徐冷炉というところを通って時間をかけて冷ますようにしていますが、
中にはその冷ます工程がうまくいっていなくて出荷前に歪を強く持っているものがあるとされています。
今は生産が自動化されているのでそういうことは稀だと思いますが無いとは言えません。
食器屋では「ああ、冷ましが悪かったんだね!」といいます。
厚底のグラスはそのデザインの宿命で、
食洗機、特に業務用の食洗機は高温のお湯で洗いますので熱の影響を強くグラスに与えます。
上の写真のように熱の分布が均一ではなく、
特に膨張収縮速度の差がでる厚みが変わる境目に歪が出やすくなります。
だからといって厚底のグラスが悪いわけではありません。
忙しいときに例えばアイスコーヒーや冷たい飲み物ばかりが集中して、
グラスの在庫に余裕がない、
そうなると飲み終わったお客様のグラスを急いで下げてきて食洗機にブチ込む!
まず氷で冷えた状態から熱い食洗機にいれてしまうことで急激な温度差ができる、
そして洗い終わってまだグラスの熱が冷めきらないうちに氷を入れてお客様へ提供する。
グラスにとってはすごいストレスなんですね。
それを繰り返すと、
飲み物が入った状態でお客様が持ち上げて底が抜ける!
当然服も靴もその周りはビチャビチャ!!
お客様へいろいろ弁償したりと大変なことになります。
厚底を使いたかったら在庫の数に余裕をもたせて回転数をへらすことです。
少しリスクを減らしたいのであれば、
全体的に厚みに差がすくないものを選ぶといいと思います。
でも、
そういうグラスにしたからといって
急激な温度差を与え続ければ割れちゃうのは同じことですから気をつけて!!
昔の飲食店の方はこういうことわかっているひとのほうが多い印象でしたが、
いまはこういう説明も改めて必要なんだなと思った次第です。
何しろ急な温度差は避けてください。
これはこれからの季節、
熱い飲み物をグラスで提供することにも言えます。
厚手のグラスだから熱いもの入れて大丈夫、
そう思い込んでいらっしゃる方も実際多いです。
「いつもやってるから大丈夫」
そうおっしゃるかたは止めませんが、、
熱湯だとやけどをしますのでぜひ気をつけてください。
私は熱湯には熱湯に適した耐熱グラスをおすすめします。
この記事の投稿者
山下 琢巳
やましたたくみ:食器店「笥 Hako」4月22日オープン*心屋認定カウンセラー
食べるの大好き!一人ふらっとツーリングや車中泊(放浪?)好き!心屋リセットカウンセラー(ひらいなず91期)・心屋入門講座インストラクター・エクスマ塾98期(たくちゃん)人とのつながりを大切にしてゆきたいと考えています。